日本には、お客さんを大切にする“おもてなし”の文化がある。それはよいのだが、たまに「サービス業は客に絶対服従すべき」という価値観にまで発展することがあるらしく、飲食店などで「いつまで待たせるんだ!」などと店員にどなる人もいる。そこまでいかなくとも、店員やタクシー運転手などに居丈高に接する男性は少なくない。

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 「店員に、敬語使いますか?」というトピが最近あり、そこではほとんどの人が「店員も人、対等な立場、敬語はあたりまえ」とレスをしていた。そして、「です・ます」もつけずにつっけんどんに接する知人の例をあげ、「恥ずかしかった」とネガティブな印象を述べていた。乱暴な口調や態度は、店員だけではなくていっしょにいる人までを傷つけているのだ。

 では、自分の友人や夫などが「店員に乱暴な態度を取る人」だった場合、私たちはどうすればよいのだろう。本来はその場で、「そんな言い方はよくないと思う」と伝えるべきだと思う。それだと険悪になりそうという場合、「もっと丁寧な口調のほうがあなたらしいよ」と言ってみたら、相手が「そうかな」と態度を改めてくれたこともあった。

 コンビニなどでは外国人店員の姿もおなじみになったが、そこでもときどき、店員の日本語がちょっとおぼつかないだけで、不機嫌になって乱暴な対応を取る客がいるという。「日本人の店員とかわれ!」と声を荒らげる人もいるのだとか。日本で働きたいと希望して来日した人がそういう態度に接したら、わが国に対してマイナスのイメージを持ってしまうかもしれない。

 誰にとってもマイナスの効果しかない、店員へのぞんざいな態度。「自分はだいじょうぶ?」と問うてみたい。

香山リカ(かやま・りか) 精神科医、立教大教授。1960年、北海道生まれ。豊富な臨床経験を生かし、新聞やラジオ、テレビなど様々なメディアで、現代人の心の問題について発言している。