将来は二世帯住宅で両親と同居したいのに、どうもいっしょに住むのは兄夫婦みたい。そんな悩みを打ち明けるトピがあった。レスの多くは、「親離れしなさい」「結婚して夫の両親と同居しては?」など、やや厳しめにトピ主を突き放すものだった。おそらく、うなずく読者も多いと思うが、一方で「うらやましい。ウチは娘といっしょに住みたいのに応じてくれない」となげく人たちもいるのではないか。

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 私の診察室にも「親と同居あるいは別居」という問題で、親の立場と子の立場それぞれで悩む人たちがやって来る。話を聞くとそれぞれの理由や事情があり、正解があるわけではない。

 ただひとつ言えるのは、「自分の気持ちを大切にして」ということだ。「親のためにもこうしたい」「私がこう望むのは子どものため」と話す人に、私は必ず、「あなた自身のお気持ちはどうなのですか」と尋ねる。「ここでの話は誰にも言いませんから、正直に話していいんですよ」とさらにプッシュする。すると、「本当は私たち夫婦だけで暮らしたいけど、家賃の不安が……」「老後の介護が心配なので子どもに同居してほしい」といった本音が出てくる。それを自分で認めることができれば、「じゃ、同居じゃなくて近距離に住むのはどうですか」などの打開案を考えやすく、問題が解決に向かうことが多い。

 本当に親が心配なのか。それとも親の住んでいる家がほしいのか。トピ主さんも、そのあたりを自分で見極められると、もう少し具体的な解決に近づけるのではないか。

 「こんなこと思っちゃ親不孝」といった罪悪感が、かえって自分の悩みをフクザツにしていることも多いのだ。善人であるより、自分に正直である方が答えは見つけやすいものだ。

香山リカ(かやま・りか) 精神科医、立教大教授。1960年、北海道生まれ。豊富な臨床経験を生かし、新聞やラジオ、テレビなど様々なメディアで、現代人の心の問題について発言している。

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