「わたしには時間が足りない」というトピを見つけた。早朝から深夜まで仕事に追われるトピ主さんは、もっと読書もしたいし、旅行も、ヨガも……時間が足りないらしい。贅沢(ぜいたく)な悩みのトピかな、と思いきや……最後の一文が秀逸だった。「でも、私は幸せです。みなさんはどうですか?」

image loading…

 新たな一年の過ごし方に思いをはせるこの時期に、なんと清々(すがすが)しいトピだろうか。やりたいことがあるけれどできない現実を、「不幸」ではなく「幸」ととらえる心の在りようを、今年は手に入れたいものだ。

 私が担当している「キユーピー3分クッキング」は日本テレビで最長寿の番組だ。その歴史で育まれたノウハウや教えの中に、「スタジオの神様」がある。ある日、収録が順調に進んで、「今日は早く終わりそうですね」と言ったところ、ベテランスタッフが慌てて言うには「スタジオの神様が聞いているよ!」。少しでも楽観や慢心を言葉にすると、ハプニングが起きて結局終わり時間が延びることが多いらしい。謙虚で真摯(しんし)な心持ち、これも大切だ。

 理想の心の在りように、なかなか気持ちが追い付かないとき、私は形から入る。つまり、無理にでも笑顔を作る。具体的には、口角を上げるのだ。3分クッキングの番組終わりの「愛は食卓にある。キユーピーの提供でお送りいたしました」はその場で生読みしており、収録でどんなに反省があっても、笑顔、笑顔。目を閉じ、最近、我が子たちに人気だったメニューを、「また作って」の声とともに思い浮かべる。すると気持ちがふわりと上がって、優しい音を呼び込める。いかなる時も、きゅっと口角を上げて、「でも、幸せ」と思える心持ちでいられたらきっと、良い一年になる。

杉上佐智枝(すぎうえ・さちえ) 日本テレビアナウンサー。1978年、東京都生まれ。「キユーピー3分クッキング」土曜、「ミヤネ屋」ニュースコーナーなどを担当。2児の母、絵本専門士。