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 「今年、『あらま。イケメンでした。』ありましたか?」というトピを楽しく読んだ。

 偶然出会ったイケメンを、カードを出しあうように、エピソードつきで紹介しあっている。さかのぼってみると「こんなときにイケメンだなんて。(とても駄)」が、発言小町大賞「口惜しや〜賞」を受賞した年もあり、定期的に盛り上がる話題のようだ。

 よくあるパターンのひとつに、「思いがけずイケメンに会ったが、その時の服装やメイクが不本意なものだった。とほほ」という流れがある。これが、笑えるし、ほのぼのする。「あなたが完璧にしていても、イケメン君の心をつかめたとは思わないがな!」というツッコミは、この際ナシというのも、暗黙の了解のようだ。

 つまり男の人たちが「美人に遭遇した!」と鼻の下をのばしているのとは、ちょっと違うニュアンス。そこが興味深い。男性の場合、不自然なまでに親切になることはあっても、もっとちゃんとした格好しておけばよかった、という発想はあまりないように思う。

 私にもひとつ経験があって、息子が急性胃腸炎で入院したとき、その担当医が、びっくりするほどのイケメンだった。細川茂樹と竹野内豊を足して2で割ったような……と言えばわかっていただけるだろうか。友人に「たぶん沖縄で一番のイケメン医」と言ったら、彼女が「そんなはずはない。私がこの前の野外フェスの救護班で見た人こそ沖縄一のイケメン医」と言い張るので、互いに写真を見せ合ったら、なんと同一人物だった。先生、ボランティアでフェスの救護班にいたらしい。

 それはさておき、泊まりがけの看病でフラフラだった自分が、それなりに身だしなみを整え、もっとも苦手な整理整頓を心がけることができたのは、イケメン先生のおかげだった。

 心に小さな張りあいをもたらしてくれる、それがイケメン効果なのだろう。ま、私が完璧にしていても、先生は気づかないでしょうけど!

俵 万智(たわら・まち)

 歌人。1962年、大阪府生まれ。24歳で出版した歌集「サラダ記念日」がベストセラーに。96年から読売歌壇選者。近著に「旅の人、島の人」(ハモニカブックス)など。